光重合性オリゴマーの種類と特徴【1分で分かる】
はじめに
この記事ではUV硬化樹脂に使われる代表的なオリゴマーをピックアップし、それぞれの特徴についてみていきたいと思います。
光重合性オリゴマーとは
光重合性オリゴマーは、ベースレジンと呼ばれ、UV硬化樹脂の物性に大きな影響を与えます。
分子の構造により、以下のように分類されています。
ポリエステルアクリレート
ポリウレタンアクリレート
エポキシアクリレート
ポリエーテルアクリレート
アクリル樹脂アクリレート
それぞれのオリゴマーの特徴についてまとめていきたいと思います。
①ポリエステルアクリレート
ポリエステルアクリレートの原料は、多塩基酸と多価アルコール、アクリル基を含有するカルボン酸です。
以下の組み合わせにより、様々な物性を出すことが出来ます。
多価アルコール:エチレングリコール系、ペンタエリスリトール
アクリル基含有カルボン酸:アクリル酸
長所:低粘度、安価
短所:耐薬品性が弱い
②エポキシアクリレート
ーOH(水酸基)がついており、密着性が良い一方で
二重結合の多いベンゼン環を有するため、UV照射によりラジカル反応してしまい、耐候性が落ちるという特徴があります。
ウレタンアクリレートのような硬さは出ませんが、収縮率が低いため、電子基板の材料に適しています。
芳香族系:ビスフェノールA型、ノボラック型
脂肪族系
長所:耐薬品性が高い、硬化性が良い、密着性が良い、耐熱性が良い、収縮率が低い
短所:粘度が高い、耐候性が悪い
③ポリウレタンアクリレート
ーNCO(イソシアネート基)を持つイソシアネートと、ーOH(水酸基)を持つポリオールを付加反応させることで、ーNHCOO(ウレタン結合)を持った重合体(ポリウレタン)が出来ます。
イソシアネートの硬い部分とポリオールのやわらかい部分で構成されており、以下の組み合わせによって、官能基数を変えることが出来ます。
イソシアネート化合物:芳香族系(黄変型)、難黄変型
ポリオール:ポリエーテル系(ポリエーテルジオールPEG,PPG,PTMGなど)、ポリエステル系
ヒドロキシ基含有アクリレート:単官能モノマー、多官能モノマー
官能基数が小さいと柔軟性が、官能基数が高いと硬くなる傾向があり、粘着剤からハードコートまで様々な用途に使われます。
ウレタン結合ではなくアロファネート結合にすると、分子間で相互作用しづらくなり、粘度が下がる
長所:硬化性が良い、耐摩耗性が高い、耐水性が良い、耐薬品性が高い、他の樹脂よりは耐候性が良い、伸びが良い
短所:耐熱性が低い、粘度が高い
④アクリル樹脂アクリレート
アクリル骨格にさらにアクリレートがくっついた構造で側鎖に二重結合を持つ。
長所:透明性が高い、カールが小さい、硬化性が高い
短所:耐傷性が弱い