エポキシ樹脂って何?【1分で分かる】

この記事では、エポキシ樹脂がもつ特徴について書いていきます。

 

エポキシ樹脂の定義

分子中にエポキシ基を2コ以上含む化合物を重合して得た熱硬化性樹脂。

ベンゼン環を持ち、紫外線を吸収することで反応が進む。

 

エポキシ基とは

C₂H₄O

三員環の環状エーテル

オキシラン、1,2-エポキシエタン、エチレンオイシドと呼ばれる。

オキシランを持つ化合物をエポキシドと呼ぶ。

 

C₂H₃O-CH₂

三員環の環状エーテルにメチレンが結合したもの。

オキシラニルメチレンと呼ばれる。

エポキシ基の隣のメチル基まで含む場合は、グリシジル基と呼ばれる。

 

エポキシ樹脂の作り方

エピクロロヒドリンと多価アルコールの縮合反応によってつくられる。

分子量は350~7000。

 

エポキシ樹脂の特徴

メリット

・接着力が強い

・硬化収縮が小さい

・電気絶縁性に優れ、電気を通さない

・耐熱性、耐薬品性、耐水性に優れる

 

デメリット

・耐候性が弱く劣化する

・低温化では硬化が遅い

 

エポキシ樹脂の種類

分子構造の違いにより以下の4つにわけられる。

 

①グリシジルエーテル

R-O-R’ エーテル構造を持つもの。

 

代表的なものは、

ビスフェノールA型エポキシ樹脂(BPA):2個のヒドロキシフェニル基を持つ。

・ビスフェノールF型(BPF)

・クレゾールノボラック型

・フェノールノボラック型など。

 

②グリシジルエステル型

R-COO-R’ エステル結合を持つもの

 

③グリシジルアミン型

‐NR-R’ アミノ基を持つもの

 

④脂環型

 

エポキシ樹脂の硬化

エポキシポリマー(主剤)にアミンや酸無水物(硬化剤)を混ぜると

網目状の架橋構造を作り硬化が進む。

 

主剤と硬化剤を

使用時に混ぜるタイプを2液型

あらかじめ混ぜてあるものを1液型と呼ぶ。

 

 

IRって1つじゃない?【1分で分かる】IRの種類

この記事では、IRの種類について書いていきます。

 

IRって何?

IRとは、赤外分光分析の略で、有機物の分析に用います。

 

測定対象に応じて様々な測定法があります。

 

ATR法(全反射測定法)

樹脂やゴムなどのやわらかい物に適しており、

表面の数ミクロンを計測できます。

 

クリスタルを透過させた赤外光をサンプルの表面にあて、

全反射する光を測定することで、

サンプル表面の吸収スペクトルを得る方法です。

 

塗膜や塗料どちらも計測することが出来、簡便であることがメリットです。

 

②顕微反射法

液体試料の測定に適しています。

試料に赤外光を直接当てて、

反射した光を測定することでスペクトルを得る方法です。

 

③顕微透過法

固体試料の測定に適しています。

試料に赤外光を直接当てて、

透過した光を測定することでスペクトルを得る方法です。

 

 

 

 

光ラジカル重合開始剤の種類【1分で分かる】

1.光ラジカル重合開始剤とは

光ラジカル重合開始剤の役割は、紫外線や電子線を吸収してラジカルを発生し、モノマーやオリゴマーを重合させることです。

 

2.光ラジカル重合開始剤の種類

光重合開始剤は、硬化方法により以下の3つに分類されます。

 

1.ラジカル系

2.カチオン系

3.アニオン系

 

では、それぞれどのような光重合開始剤があるのか見ていきましょう。

 

1-光ラジカル重合開始剤

硬化速度が速く、開始剤の種類が豊富です。

アクリレートやメタクリレートなどのモノマーで使用できます。

 

一方で、硬化後に収縮したり、空気中の酸素によって反応が阻害されるといったデメリットも存在します。

 

①分子内開裂型

TypeⅠと呼ばれることもあります。

開始剤自体が分子内開裂して、ラジカルを発生します。

黄変が少なく、表面硬化性が高いことが特徴です。

 

・ベンジルケタール

BDKと表記されることも。

 

・アセトフェノン(α開裂型)

置換基のあるタイプと無いタイプがあります。

α-ヒドロキシアセトフェノンは黄変が少なく、表面性硬化性が高いタイプ。

α-アミノアセトフェノンは長波長の吸収が強く、内部硬化性が高いタイプです。

 

・アシルフォスフィンオキサイド

硬化性が高く一方で、酸素阻害を受けやすいという欠点があります。

 

②水素引き抜き型

TypeⅡと呼ばれることもあります。

他の分子から水素を引き抜いて、ラジカルを発生させます。

表面硬化性が高い一方で、黄変しやすいという欠点もあります。

 

・ベンゾフェノン

2級アミンや3級アミンと反応します。

汎用性が高く、樹脂との相溶性が高いことが知られています。

芳香族系のケトンです。

 

・チオキサントン

3級アミンと反応します。黄変が少ないことが特徴です。

 

2-光カチオン重合開始剤

光を吸収すると酸を発生します。

 

酸素阻害や硬化収縮はしません。

 

一方で硬化速度が遅く、開始剤の種類もあまりありません。

 

エポキシ樹脂やビニルエーテルモノマーで使用しますが、そもそもモノマーの種類が少ないことが欠点です。

 

・ヨードニウム塩

・スルフォニウム塩

・ジアゾニウム塩

 

3-光アニオン重合開始剤

光を吸収すると、アミンやアニオンなどの有機塩基を発生します。

 

ラジカル重合と異なり、UV照射後も硬化反応が進行します。

光カチオン重合のように強酸を発生させないため、金属材料を腐食させることはありません。

 

エポキシやアクリレート、イソシアネートなどのモノマーに使用することが出来ます。

 

・エポキシオリゴマーとチオールの付加反応

・シラノールの縮合反応

 

3.光重合開始剤の選び方

①ラジカルの生成のしやすさ

②樹脂と相溶性が良い

③生成されたラジカルの反応性の高さ

④光源スペクトルと吸収波長が重なっている

⑤光の吸収による黄変の少なさ

⑥揮発しづらい

⑦貯蔵安定性が良く、暗反応を起こさない

⑧安い

⑨酸素阻害を受けづらい

⑩樹脂内の他の成分(顔料)などの吸収スペクトルと重ならない

⑪臭いがきつくない

 

光重合開始剤には様々な種類がありますが、モノマーとの相性を見極めておかないと、

硬化性能に大きな影響を及ぼします。

 

用途や求める物性によって適切に併用することで

波長域を広くしたり、硬化性を向上させたりすることが出来るのです。

 

光重合性オリゴマーの種類と特徴【1分で分かる】

はじめに

この記事ではUV硬化樹脂に使われる代表的なオリゴマーをピックアップし、それぞれの特徴についてみていきたいと思います。

 

光重合性オリゴマーとは

光重合性オリゴマーは、ベースレジンと呼ばれ、UV硬化樹脂の物性に大きな影響を与えます。

分子の構造により、以下のように分類されています。

 

ポリエステルアクリレート

ポリウレタンアクリレート

エポキシアクリレート

ポリエーテルアクリレート

アクリル樹脂アクリレート

 

それぞれのオリゴマーの特徴についてまとめていきたいと思います。

 

①ポリエステルアクリレート

ポリエステルアクリレートの原料は、多塩基酸と多価アルコール、アクリル基を含有するカルボン酸です。

 

以下の組み合わせにより、様々な物性を出すことが出来ます。

 

多塩基酸:コハク酸アジピン酸テレフタル酸

多価アルコール:エチレングリコール系、ペンタエリスリトール

アクリル基含有カルボン酸:アクリル酸

 

長所:低粘度、安価

短所:耐薬品性が弱い

 

②エポキシアクリレート

ーOH(水酸基)がついており、密着性が良い一方で

二重結合の多いベンゼン環を有するため、UV照射によりラジカル反応してしまい、耐候性が落ちるという特徴があります。

 

ウレタンアクリレートのような硬さは出ませんが、収縮率が低いため、電子基板の材料に適しています。

 

芳香族系:ビスフェノールA型、ノボラック型

脂肪族系

 

長所:耐薬品性が高い、硬化性が良い、密着性が良い、耐熱性が良い、収縮率が低い

短所:粘度が高い、耐候性が悪い

 

③ポリウレタンアクリレート

ーNCO(イソシアネート基)を持つイソシアネートと、ーOH(水酸基)を持つポリオールを付加反応させることで、ーNHCOO(ウレタン結合)を持った重合体(ポリウレタン)が出来ます。

 

イソシアネートの硬い部分とポリオールのやわらかい部分で構成されており、以下の組み合わせによって、官能基数を変えることが出来ます。

 

イソシアネート化合物:芳香族系(黄変型)、難黄変型

ポリオール:ポリエーテル系(ポリエーテルジオールPEG,PPG,PTMGなど)、ポリエステル系

ヒドロキシ基含有アクリレート:単官能モノマー、多官能モノマー

 

 

官能基数が小さいと柔軟性が、官能基数が高いと硬くなる傾向があり、粘着剤からハードコートまで様々な用途に使われます。

 

ウレタン結合ではなくアロファネート結合にすると、分子間で相互作用しづらくなり、粘度が下がる

 

長所:硬化性が良い、耐摩耗性が高い、耐水性が良い、耐薬品性が高い、他の樹脂よりは耐候性が良い、伸びが良い

短所:耐熱性が低い、粘度が高い

 

④アクリル樹脂アクリレート

アクリル骨格にさらにアクリレートがくっついた構造で側鎖に二重結合を持つ。

 

長所:透明性が高い、カールが小さい、硬化性が高い

短所:耐傷性が弱い

UV硬化樹脂に必要な成分【1分でわかる】

はじめに

この記事では、紫外線(UV)硬化樹脂に必要な成分とその特徴 についてまとめていきます。

 

光重合性オリゴマー

10~100コのモノマーが結合した重合体。硬化樹脂の主成分となり、物性を大きく左右します。分子の構造により、以下の4つに大別されます。

・エポキシアクリレート

・ウレタンアクリレート

・ポリエステルアクリレート

・ポリエーテルアクリレート

 

光重合性モノマー

単量体です。オリゴマーの希釈剤や架橋剤となります。

・単官能アクリレート

・多官能アクリレート

 

光重合開始剤

光を吸収してラジカルを発生させ、モノマーとオリゴマーの重合反応を開始させます。

・光開裂型

・水素引き抜き型

 

増感

光重合開始剤と併用することで、開始剤が励起出来ない長波長の光エネルギーを吸収し、重合速度の向上や深部硬化の促進、光重合開始剤の添加量を減らすことに繋げます。

・アミン系

・キノン系

 

添加剤

UV硬化型樹脂に添加することで、様々な物性を付与できます。

・重合禁止剤

・接着付与剤

・チクソ性付与剤

・表面調整剤

・消泡剤

・基材湿潤剤

・分散剤

・紫外線吸収剤

・光安定剤

有機フィラー

・無機フィラー

・顔料

 

 

光重合性モノマーの役割と特徴【1分でわかる】

はじめに

この記事では、UV硬化樹脂に必要不可欠な材料である 光重合性モノマー についてまとめていきます。

 

光重合性モノマーの役割

①希釈

粘度が低い物が多く、オリゴマー(粘度が非常に高いものが多い)の反応性希釈剤として溶剤の代わりに使われることもあります。

 

②無溶剤化

硬化後は、硬化物の一部となるため、大気中に拡散してしまう溶剤と異なり、塗膜内に留めておくことができ、公害の緩和に繋がります。

 

③架橋

官能基が2つ以上ある場合は、ポリマーとポリマーを結ぶ架橋剤としての役割を果たします。

 

光重合性モノマーの特徴

光重合性のモノマーの特徴として以下の5つがあげられます。

 

①低粘度

②揮発性が小さい

③溶解性が大きい

④分子量が小さいと皮膚刺激が大きい

⑤(2官能以上では)架橋性が大きい

 

官能基数の違いによる傾向

①官能基が少ない

粘度が低く、柔軟性があるものが多いです。

 

②官能基が多い

官能基数が増えれば増えるほど、極性と架橋密度が高くなり、揮発しづらい傾向があります。

 

モノマーを選択するときに気を付けること

モノマーは、架橋剤や希釈剤として優秀な成分である一方で、

しっかり硬化するか、塗膜の物性に悪影響が出ないか、安全な材料か、等を確認する必要があります。

 

①皮膚刺激が低いこと

②臭気がきつくないこと

③色相が薄いこと

④硬化活性が大きいこと

⑤溶解力が高いこと

⑥価格が安いこと